導入事例
ヤマゼンロジスティクス
株式会社 様
「LogiPullのバース予約管理でトラック待機時間を平均1時間にまで削減。
次は受付管理、車両入退管理にも取り組んでいきたいと思います」
効果
- 1夕方までかかっていた待機車両の待ち時間を平均1時間にまで削減
- 2事前に納品情報を取得することで現場の作業を効率化
- 3業務プロセスに合わせたフレキシブルな対応が可能
山善の家庭機器事業部に
おける物流の要
─ 御社の会社概要をお聞かせください。
当社は「工作機械や工場内で使われる産業機器や機械工具」などのモノづくりを支える生産財と、「住宅設備機器や建材」「家具や家電などのアメニティ&生活用品」など、暮らしを守る消費財を取り扱う専門商社、株式会社山善の商品管理部・物流部門から独立したロジスティクス会社です。
事業それぞれの商材に応じた物流拠点を全国に展開。自社運営だけでなく倉庫会社・運送会社・情報システム会社・3PL事業者など、多くの協力会社とともに事業を展開しています。
そのなかで我々ロジス関東は、年間約18,000アイテムもの商品を取り扱う家庭機器事業部の要であり、当社最大級の物流拠点です。さらなる事業成長を目指すため、2003年8月に佐川グローバルロジスティクス株式会社と業務委託契約を締結し、現拠点にて稼働しています。
ロジス関東は山善グループの一員として「安全・安心」をモットーにロジスティクスサイドから環境負荷低減への取り組みを積極的に推進。さらに、CSR経営を基盤に社会的責任を遂行し、当社に関わる方々の期待に応えるべく、より高い水準でのロジスティクス継続に努めています。
待機車両対策に
LogiPullのバース予約管理を導入
─ 今回、シーイーシーには何を依頼されたのでしょうか?
ロジス関東で発生していた待機車両の対策として、シーイーシーのトラック積降効率化ICTソリューションLogiPullのバース予約管理(以下、LogiPull)の導入をしました。あらかじめLogiPullでバース予約することにより、ロジス関東に荷物を降ろす車両の到着を分散化させることに成功しました。具体的なイメージと効果は下の図の通りです。
─ LogiPull バース予約管理の導入が必要となった背景をお聞かせください。
入庫待ちによる長時間の車両待機が発生していたことが最大の課題でした。繁忙期の月初などは約70台の入庫車両があるため、待機車両が発生してしまい、車両によっては朝から待っていただき夕方になってようやく降ろせるという状態が頻繁に発生しました。待機車両による具体的な問題は次の2つがありました。
<ドライバーの労働環境が悪化>
車もドライバーも減少しているなか、ドライバーを長時間拘束することはできません。厚生労働省や国土交通省では「取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」を策定しており、当社もコンプライアンス遵守は必然と考えていました。
ロジス関東 所長 辻村 宗一氏
<現場作業にかかる負担の増加>
月初の3日間は24時間体制が通例となっていました。しかも、朝から車両が待機していますから、計画的にバースを空ける余裕はなく、とりあえず荷物を降ろして押し込む作業を優先していました。すると、押し込んだ山積みの荷物をバラしながら検品しなければなりません。結果、現場の作業時間は通常の3倍以上かかっていました。
アナログ的な予約システムを
実験的に試みる
─ 御社では待機車両の緩和に向けた独自の対策を試みたと伺いました。
入庫してから荷物情報のシステム計上にも時間を要していたため、営業の方からのクレームも少なからずありました。しかし、現場とすれば、いつ何がやってくるのかが不明なわけですから、どのバースを空けて何人手配すればいいのかわかりません。実際、当時は事前の受入れ計画が立てられず、荷降ろし作業が非効率になっていました。
待機車両の発生から生じるさまざまな問題は、入庫車両の到着時刻や積荷情報を事前に把握できていないことが最大の要因でした。逆に言えば、車両の荷降ろしの時間を計画的に割り当てることができれば、待機車両は緩和され、物流センターの人員配置の平準化も可能になると考えました。
そこで、2年前の2017年、アナログ的な予約システムを実験的に開始。メーカーに対し、紙の入荷予約用紙を渡して「いつ・どういった商品が入ってくるのか」を記載していただくようにお願いしました。強制力がなく、メーカーにとっては付帯業務が増える施策でしたが、「ドライバーの負担が軽減されるのであれば」と、徐々にメーカーの賛同も得られるようになっていました。
「次はどうやって時間割りをつくるか」そのシステムを思案し始めていたとき、シーイーシーからLogiPullの提案がありました。LogiPullは我々の構想と合致しており、まさに渡りに船だと思いました。
LogiPullは当社が要求するプロセスに合わせたフレキシブルな対応が可能
─ LogiPullの選定理由を教えてください。
シーイーシーから提案を受けたLogiPullは非常に魅力的でしたが、会社としては比較・検討が必要です。そこで、LogiPullと同様のサービスを提供する2製品を加え、計3社の比較・検討を行いました。
当社が最も重視したのは、フレキシブルな対応です。そもそも待機車両という課題に対し、ここまで乗り切ることができたのは現場の即時対応力。導入したシステムが、現場の即時対応力を阻害する足枷になることは避けなければなりません。
そのため、まずはトライアルから実施し、現場での使用状況を見ながらカスタマイズを行って、業務プロセスを実現できるかがポイントでした。この要求に対し、シーイーシーからは明確なイエスの返事をいただきました。他はパッケージ化されており、当社が要求するプロセスへの対応は難しい状況でしたので、あらためてLogiPullを選定いたしました。
ロジス関東 副所長 西山 哲史氏
トライアル運用の状況を見ながら
カスタマイズを実施
─ LogiPull導入の進捗状況についてお聞かせください。
具体的な進捗状況は表の通りです。カスタマイズについては、現場での使用状況を見ながら細かな部分まで対応いただきました。カスタマイズの一例としては、予約の再設定が挙げられます。当初、一度予約を行うと簡単には変更できない仕様でした。しかし、現実的には実際に車両が決定するのは搬入前日ということが多々ありますので、予約した後でも予約内容を再設定できる仕様にしていただきました。
2019年7月の時点において、主要仕入先メーカー10社でLogiPullを活用しており、これは全物量の50 ~ 60%にあたります。この段階でとくに支障が発生していないことから、予定通り、9月には全仕入先メーカーにLogiPullを展開する予定です。なお、LogiPullのトライアルは、他車両の妨げにならないように別ルートを設けて行っています。
●LogiPull導入決定以降の進捗状況
時期 | 内容 |
---|---|
2018年11月 | 標準仕様で導入/カスタマイズはトライアルの運用状況で判断 |
2018年12月 | 主要2社からトライアル運用開始/以降、徐々に仕入先メーカー各社へ展開 |
2019年2月 | 課題洗い出し/全仕入先メーカーへの展開に向けた機能をカスタマイズ開発 |
2019年7月 | トライアル運用を10社に拡大/カスタマイズ版へ環境を移行 |
2019年8月 | 全仕入先メーカーに向けた説明会を実施 |
2019年9月 | 全仕入先メーカーへ展開 |
LogiPullが現場の労働環境を改善
ドライバーや現場から高い評価
─ 現在までの評価をお聞かせください。
端的に言って、とても評判が良いです。車両の待機時間は平均1時間まで大幅に減り、コンプライアンスの面でも効果を発揮しています。もちろん、現場からも高い評価が得られています。予約を参照すれば、事前に“いつ・何が・どれぐらい” 到着するかがわかりますから“どの時間・どのバースに・何人” 配置するかまで決めておくことができます。
本部の家庭機器事業部からは、メーカーやドライバーからのクレームが減ったと報告を受けました。我々としても、狙い通りの結果に満足しており、全メーカー展開にも期待しています。
他の拠点への展開を検討
ロジス関東はさらなる業務効率化を推進
─ 今後、LogiPullはどのように展開する予定ですか。
全メーカー展開次第ですが、問題なければ次の2つの展開を考えています。
<他拠点への展開>
大規模な物流センターであるロジス関東が「LogiPullによってシステム化された物流センター」としてロールモデル化されれば、他拠点(他のロジス)への展開も考えられます。その場合、他の大きな拠点から順に導入を検討することになると思います。
<受付&車両入退管理の導入を検討>
ロジス関東の次のステージは、さらなる業務の効率化とセキュリティの強化。現状では紙による車両の受付が課題となっています。紙は情報伝達にタイムラグが生じるため、リアルタイムに状況を把握できず、ドライバーの待機時間や作業員の手待ち時間を予測できません。現在、テストケースで車両の受付時間、作業開始時間、退出時間を手動計測していますが、効率を考慮すると早々に電子化するのがベストだと感じています。また、車両の入退管理はセキュリティの関係で、早急に導入する必要があります。
幸いにも、LogiPullは後から受付管理、車両入退管理を追加できます。しかも、今回のバース予約管理と連動させることが可能と伺っています。今後、シーイーシーとは密に連携を取り、当社にとって最適なシステムの構築を考えていくつもりです。
あれこれ考えず、
素早く課題解決に着手するのが得策
─ LogiPullの先行ユーザーとして、物流ソリューションに興味を持っている方々に向けたアドバイスをお願いします。
物流はモノが動くと同時に噂も伝わっていきます。問題なのは、悪い噂ほど速く伝わって、なかなか払しょくできないこと。「ロジス関東は待機時間が長い」となれば、あっという間に全国に広がっていきます。大事なのは、あれこれ考えず早々に課題解決に着手することです。「ロジス関東は待機時間が短くなった」ことを訪れたドライバーに体験していただければ、徐々にではありますが、評価を変えることができます。もちろん、そのためにはLogiPullのようなソリューションは必須。LogiPullは現状の課題に合わせて機能を取捨選択できますから、自社に適したシステムが見つかると思います。
-シーイーシーに対する今後の期待をお願いします。
物流は近年、急速に機械化・ICT化が進み、人件費削減、コスト削減が顕著化しています。当社もその流れには逆らえません。ですから、シーイーシーには業務の効率化、コスト削減につながるソリューションを期待しています。良いものであれば、積極的に取り入れていきたいと思っています。これからも、変わらないご支援をお願いします。
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商 号
ヤマゼンロジスティクス株式会社
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本 社
〒550-8660
大阪市西区立売堀2-3-16 -
資本金
8,000万円
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従業員数
146名(2019年3月末時点)
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U R L
※記載の情報は取材当時のもので、閲覧時点には変更されている可能性があります。