導入事例
三菱電機ロジスティクス株式会社 様
「省人化の推進と渋滞を発生させない先進的な物流拠点にすべくLogiPullを導入。
イメージ通りのトラックコントロールシステムを構築することができました」
効果
- 1バース予約管理、車両入退管理の機能を持つLogiPullの導入により、導入から現在までトラックの渋滞は発生していない
- 2トラック入退場のゲートで対応する誘導員などが不要となり、 LogiPullが省人化に貢献
- 3柔軟なカスタマイズ力で、ICカード対応をはじめとした現場が求めるシステムを構築
自動車電装品をつくる三菱電機の物流拠点
─ 会社概要全体および広畑グローバルロジスティクスセンターの概要についてお聞かせください。
当社は三菱電機グループの物流会社で、三菱電機グループおよび一般企業様から受託した部品・製品を中心に、貨物の保管・荷役、包装、輸送・配送、搬入据付まで幅広い物流事業を国内外で展開しています。
広畑グローバルロジスティクスセンターは2021年8月に竣工で、完成したばかりの物流拠点です。当センターが担うのは、三菱電機 姫路製作所広畑工場(以下 広畑工場)が生産するハイブリッド車・電気自動車用インバーターやモータージェネレーター、オルタネーター、スターターといった車のエンジンルームに装備する自動車電装品の運搬・保管をおこなう物流拠点です。製品を出荷するだけでなく、工場で製品をつくるための無数の部品を預かり、これを工場側に供給する保管場所の機能も担っています。
広畑に当センターが建設された理由は、大きく2つあります。ひとつは三菱電機が生産する自動車電装品の増産に対応できる体制づくりが挙げられます。今後、製品の出荷量が増えることになれば、必要となる部品も増えてきますから、工場のスペースだけではすべてを保管することができません。そこで、その受け口として当センターの建設を計画しました。
もうひとつは拠点集約です。当センターができる前まで、姫路地区には工場近隣に倉庫が点在していたため、業務効率が悪く工場側のニーズに応えられないケースがありました。そこで工場に関わる物流機能を集約、一元化し、業務効率化と省人化を図るため、当センターを建設することとなりました。
渋滞発生がない物流拠点を目指す
─ LogiPullの導入が必要となった背景をお聞かせください。
当センターは三菱電機とタッグを組み、数年かけて構想を練った物流拠点ですから、他にはない先進的な物流倉庫にしたいという想いがありました。特に省人化を推進する自動化に注力し、西日本最大規模の自動ラック、無人搬送機、自動梱包設備、WMS(倉庫管理システム)などを導入しました。
LogiPull導入もその取り組みの一環です、ただ、LogiPullに関しては省人化というよりも、トラックの渋滞やドライバー待機時間の削減に主眼を置いていました。一日に入退場するトラック台数を平均90台、最大300台と想定し、仮にその300台のトラックが午前中に集中すると、近隣で大渋滞が発生してしまいます。近隣住民の方々、ドライバーに多大なご迷惑をかけてしまいますので、渋滞が発生しないようにトラックの入退を管理し、分散化する必要がありました。
しかし、これだけのトラック台数を人で管理するのは負担が大きく、省人化の方針にも反します。当センターがオープンする前にトラックの入退は課題として把握していましたので、着工前からシステムで管理する手段を模索し、たどり着いたのがLogiPullでした。
姫路統括事業所
広畑グローバルロジスティクスセンター
センター長 大橋 一輝氏
─ LogiPull以外で比較・検討されたソリューションはございますか。
シーイーシーのLogiPullほか、もう1社のソリューションと比較検討しました。 LogiPullは2018年、物流関係の展示会でシーイーシーのブースを拝見し、今回お声をかけさせていただきました。
シーイーシーのカスタマイズに期待
─ LogiPullの選定理由を教えてください。
機能とコストのバランスに妥当性があるかどうかを重視しました。その機能については、LogiPullの以下の点を高く評価し、選定のポイントとさせていただきました。
<負担なく運用できる監視カメラでの車番認証>
ゲートを通過するトラックの認証方法について、比較検討したもう一社からはETCを利用する方法を提案いただきました。一方でシーイーシーはカメラによる車番認証方式を提案くださいました。認識率を比較すると、ETCと車番認識カメラともにほぼ100%で問題ありません。車番認識カメラはナンバープレートが汚れていると認識率が落ちるという点がありますが、当センターにおける運用方法を考慮してカメラによる車番認証を提案したとのこと。当センターに出入りするトラックにヒアリング調査したところ、ETC車載器の搭載率は約8割で、残り2割の車両にETC車載器を装着してもらう手間と費用、さらに初期登録の手間を考えると、ETCでの運用は現実的ではありませんでした。
姫路統括事業所
広畑グローバルロジスティクスセンター
運営課
主査 服田 光氏
その点、車番認識カメラなら運送会社やドライバーに対する機器設置のお願いをしなければならない手間や費用は発生しません。我々としても、認識率が99%以上であれば車番認識カメラでの運用で問題ないと判断しました。
<柔軟に対応できるカスタマイズ力>
当センターが要望するバース予約やトラック入退管理、そして車両誘導のアイデアを実現するとなれば、大がかりなシステムになると想定。複数のソリューションを組み合わせる必要があるのではと考えていました。
その点、LogiPullはそれらの機能をすでに網羅し、選択できるパッケージ製品。しかも、シーイーシーはSIerとしての強みを生かし、導入先の要望に合わせたカスタマイズも可能でした。自社製品でカスタマイズできるシーイーシーの開発力や柔軟性の高さに期待し、LogiPullを選定させていただきました。
─ カスタマイズの部分を教えてください。
大きなカスタマイズはICカード入退システムとの連携です。入場後、トラックはゲートで一時停止し、カメラによる車番認証を実施。同時にドライバーは配布済みのICカードをゲートに備え付けたリーダーにかざし、人の認証も行います。
この運用は輸出業務を行う当センターのセキュリティ対策強化の一環として実現させたかった要望となります。ICカード自体は当社が発行しますが、LogiPullとの連携はシーイーシーにカスタマイズで対応していただきました。このほか、当センターの運用に合わせたカスタマイズをいくつか行っています。
イレギュラーをひとつずつテスト
─ スムーズに導入できたのでしょうか。
導入に際しては、正式な入場パターンとは別に、イレギュラーな入場パターンも想定しなければなりません。そうしたイレギュラーな入場を20パターン以上想定し、ひとつずつテストしていきました。検証パターンが多く、テストはスムーズではありませんでしたが、テストで不具合が見つかれば、その都度シーイーシーに改修していただきながら、丁寧に対応してもらったので、大きな問題はなく、当センターに最適化したLogiPullを構築していきました。
─ 具体的にはどのようなテストをされたのでしょうか。
例えば、ドライバーが受付手続きをせずに入場してしまった場合などです。また、何らかの原因で車番認証がエラーになった場合や、車番認証はされたがICカードが認証されなかった場合など、さまざまなイレギュラーの状況をひとつずつテストし、システムとして明確な対応の仕組みを整えていきました。
ーオープン当初の稼働状況をお聞かせください。
LogiPullというシステムは導入しましたが、最終的に大事なのはドライバーの方々に運用をご理解いただくことだと考えていました。渋滞しないように事前予約によって分散する仕組みを構築しても、その時間通りにドライバーが到着しなければLogiPullを使っていないのと一緒。LogiPullによる事前予約の考え方をご理解いただくドライバーへの周知活動は、非常に重要だと思っていました。そこで、あらかじめ自社トラックおよび協力会社の責任者に対してLogiPullのシステムの説明会を実施しました。しかし、ある運送会社では責任者からドライバーへの連絡が不十分だったようで、オープン初日は大変でした。
想定はしていましたが、事前予約なしに入場しようとするドライバーがいたり、応対が間に合わないほどのドライバーからの問い合わせ電話がありました。また、協力会社へのICカード発行にも手間取りました。問い合わせていただければ事前にICカードを発行できるのですが、周知できていなかったこともあって当日発行が多く、それが入場の混乱を招きました。ICカードを持っていない方は、ゲートの守衛室で申請書を書いていただく発行手続きを行い、次回の入場時にはICカードを渡す流れのため、現場はかなり混乱していたと思います。
周知させるのは難しいと感じましたが、実際に混乱したのはオープン初日だけでした。初日の状況を受けて協力会社の責任者とドライバーとの間で認識のすり合わせが行われたらしく、2日目の問い合わせ電話は初日の10分の1以下。2日目以降は混乱することがありませんでした。
トラック入退場の分散化に成功
─ LogiPullに対する評価・効果をお聞かせください。
LogiPullによってトラックの入退場が分散化され、現在まで渋滞は発生していませんので、当初の目的は達成されています。オープン前後から、運用するうえでの細かな修正はシーイーシーと連携を取りながら行っていますので、現時点で完成度が高いトラックコントロールシステムだと自負しています。また、LogiPullを導入して以下のような効果も感じています。
<省人化に成功>
1日あたり90台~ 300台ものトラックが入退場するわけですから、通常であれば誘導員などが必要になります。しかし、当センターではLogiPullが誘導をしてくれるので誘導員はゼロ。常駐する警備員は一般外来者を受付する業務に専念ができ、大きなトラブルもなく、省人化できていると実感しています。
<スペースの効率化>
一般的に倉庫には大きな駐車スペースが必要で、当センターの規模であれば、少なくても40 ~ 50台の駐車スペースは必要になります。しかし、当センター内にバース以外で駐車できるスペースは5台分のみ。入退場するトラックは分散化されていますから、必要以上の駐車スペースは不要で、敷地を効率的に利用することができます。もちろん、スペースの効率化は設計段階から考慮しており、LogiPullを導入する時点で想定はしていました。実際、その通りに運用できているところに嬉しさと安堵感があります。
<ホワイト物流への貢献>
安定的なトラック輸送の実現には、ドライバー不足の解消が不可欠です。そこで、当社もホワイト物流を推進し、物流の改善に取り組んできました。そのなかで、渋滞を抑制するLogiPullの貢献度はかなり高いと感じています。長距離トラックの場合、夜中に運転し朝方に到着して倉庫がオープンするまで仮眠というケースが珍しくありませんが、当センターは24時間体制かつ事前予約で動いていますから、事前登録の時間通りに来れば荷下ろしすることができます。ドライバーからはLogiPullに対する不満の声はなく、素直に受け入れてもらえていると感じています。
姫路統括事業所
業務部 運営企画課 広畑GLC駐在
原田 大輝氏
<トラック到着予定の見える化>
今後はさらなる物量増加に備え、LogiPullに蓄積されている荷積み/荷下ろしといったバース稼働情報も活用していきたいと考えています。が、しかし、稼働し始めたばかりですので、まずはデータを蓄積することが先決。データが溜まってくれば、分析して物量増加時に役立てたいと思います。また、さらなる事務的な作業の効率化を図るためにLogiPullのカスタマイズも適宜検討します。LogiPullは進化していくソリューションだと思っていますので、これからもシーイーシーの支援を期待しています。引き続きよろしくお願いします。
姫路統括事業所
業務部 運営企画課 広畑GLC駐在
福井 由季氏
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社 名
三菱電機ロジスティクス株式会社
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本 社
〒151-0073
東京都渋谷区笹塚二丁目1番6号 -
資本金
17億3,500万円
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従業員数
997名(2021年4月1日現在)
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所 在 地
〒671-1123
兵庫県姫路市広畑区富士町1-9 -
主な概要
(容積対象)延床面積 3万6,477.0㎡ 、建築面積 1万4,739.3㎡
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建物構造
鉄骨造地上2階建て
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